
最近、YouTubeやSNSで、せんべろ酒場を紹介する投稿をやたら見かけるようになったと思いませんか。
かつてはおじさんたちのたまり場というイメージが強かった場所ですが、今では若い人や女性の姿も珍しくありません。
そもそも、せんべろとは何なのでしょうか。普通の安い居酒屋とは何が違うのでしょうか。
興味はあっても、常連さんばかりの店に初めて入って浮かないか、気になる人も多いと思います。
この記事では、長年通ってきた実体験をもとに、せんべろの意味や楽しみ方、初めて訪れる際に知っておきたい最低限のルールを紹介しています。
せんべろとは?普通の安い居酒屋との違い

SNSや動画でよく見かけるせんべろ酒場ですが、安く飲める店なら普通の居酒屋にもあるので、何が違うのかピンとこない人も多いと思います。
長年せんべろの店で飲んできた私から見ると、違いは次の3つです。
- 千円前後で飲める店や飲み方
- 酒2杯とつまみ2品が目安
- 一人でサッと飲む過ごし方
値段だけを比べると居酒屋と大差がないように見えても、過ごし方まで含めると、せんべろはまったく別物だと分かります。
千円前後で気軽に飲める酒場や飲み方のこと
せんべろ酒場とは、千円とベロベロに酔えるを組み合わせた言葉で、1,000円前後で気軽に飲める酒場や、そうした飲み方そのものを指します。
街でよく見かける昔ながらの一杯飲み屋や立ち飲み屋、もつ焼き屋、酒屋の一角で飲む角打ちなどが代表的な店です。
どの店も、昭和から時間が止まったような雰囲気が残っているのが特徴と言えます。
とはいえ、文字通り千円で泥酔するという意味ではありません。
安く飲めて、ほろ酔いで気持ちよく帰れる、というくらいの感覚で使われています。
酒2杯とつまみ2品がせんべろの目安?
一般的には、お酒2〜3杯とつまみで1,000円前後というのが、せんべろの目安と言われています。
ちなみに私が思うのは、お酒1杯とつまみ2品で1,000円を超えない感じです。
しかも、お通しが出てこないことも大事なポイント。
ただ、1杯でベロベロにはならないので、実際は2杯と2品で1,000円くらいが現実的なラインかもしれません。
なお、最近はせんべろセットを出している店も増えましたが、個人的にはセットがある店は邪道だと思っています(笑)
自分で好きなものを選んで、その日の気分で1,000円に収めるのが、せんべろの楽しさだからです。
一人で来てサッと飲んで帰るのが立ち飲みの過ごし方
普通の居酒屋とせんべろ酒場の一番の違いは、値段よりも過ごし方にあります。
居酒屋は、仲間と集まって盛り上がりながら、長い時間を過ごす場所です。
メニューも2人前以上が前提のものが多く、一人だと頼みにくいこともありますよね。
一方で、せんべろの立ち飲み屋は、基本的に一人で来て、サッと飲んで食べて帰る場所。
つまみも1人前が基本なので、一人でも好きなものを少しずつ頼めます。
常連さんほど長居はせず、1杯か2杯飲んだら、さっと帰っていくのが当たり前です。
この過ごし方の違いを知っておくだけでも、初めて店に入ったときの戸惑いはぐっと減ります。
せんべろ酒場は敷居が高そうだけど初めてでも楽しめる理由

昔ながらのせんべろ酒場は、常連さんばかりで、初めての人には難易度が高いと思われがちです。
特に立ち飲み酒場は、おじさんたちの聖地というイメージが強く、若い人や女性が一人で入るには勇気がいるかもしれません。
しかし、実際には一人で飲みに来ているお客さんが多く、誰かと会話する必要もありません。
好きなお酒とつまみを注文して、自分のペースで飲んで帰れるのが魅力です。
最近ではYouTubeやSNSでも、若い人や女性が昔ながらのせんべろ酒場を楽しんでいる様子が数多く投稿されています。
もちろん、店によって注文方法や独特のルールはありますが、あらかじめ知っておけば必要以上に身構えることもありません。
そこで、都内でも比較的入りにくいと思われがちな鶯谷の信濃路と赤羽のいこい本店を例に、初めてでも楽しめる理由を紹介します。
ラブホテル街の入口にある「信濃路」入ってしまえば居心地がいい

信濃路は、JR鶯谷駅の北口を出てすぐのところにある大衆酒場です。
名前からわかるように、昔は立ち食いそば屋でした。
見た目のディープさとは裏腹に、一度入ってしまえば、初めてでも気負わずに過ごせる店です。
ディープな場所柄でも店内は誰もが自分のペース
場所は、鶯谷北口を出てすぐ、ちょうどラブホテル街へ線路沿いで向かう入口にあります。
店の外には待ち合わせらしい怪しい人や、どういう関係か分からない謎のカップルがよく立っています。
当然ながら、店内もディープな常連さんが多いです。
24時間営業だったころの信濃路は、NHKのドキュメント72時間「大都会・真夜中の大衆食堂」の舞台にもなりました。

さまざまな事情を抱えた男女が夜通しやってくる店として取り上げられたほど、ディープな店なのです。
外観から想像するよりもずっと居心地がよく、気づけば私も一人で立ち寄るようになっていました。
今はQRで頼めるので初めてでも注文しやすい
私が通い始めたころは、駅から見て左側しかありませんでした。
右側にあるテーブルや座敷はなく、うなぎの寝床のようなカウンター席だけ。
当時は、当然のようにホールスタッフもいないので、厨房とカウンターの間にあるガラスケースの下やスキマからドリンクのお替りなどを注文したものです。
壁側のカウンターの場合は、壁のメニューや大皿のおかずを見て、キッチンに向かって大声で直接頼むスタイルでした。
今は隣の店舗と合体して広くなり、テーブル席や座敷もでき、ホールスタッフも見かけます。
しかも最近は、テーブルに置いてあるQRコードを読み込んで、スマホから注文できるようになっています。
店員さんに声をかけるのが苦手な人でも、これなら気軽に頼めるようになりました。
鶯谷の信濃路は、芥川賞作家の西村賢太氏が通い続けたことでも知られているお店です。
昔のレジのところにサインが飾ってあります。
そんな信濃路の話に加えて、混んでいるときの避難場所にしている中華の東瀛や、甘いタレの焼き鳥が名物のささのやなど、鶯谷で飲み歩くときの店はnoteで紹介しています。

立ち飲みの聖地いこい本店もルールを把握していれば大丈夫

赤羽の立ち飲み、いこい本店は、昔ながらの立ち飲みの聖地とも言える有名店です。
いこい本店を知らなくても、トリドールの系列になった晩杯屋なら知っている人も多いと思います。
実は晩杯屋の始まりは、創業者がいこいで修業したことにあります。
その証拠に、晩杯屋の暖簾には赤羽いこい系と書いてあるのです。
店内は決して広くなく、常連さんたちが慣れた様子で飲んでいるため、初めてだと少し戸惑うかもしれません。
しかし、入店方法や店のルールを知っていれば、それほど難しいことはありません。
入口で人数を伝えれば立つ場所を教えてくれる
いこい本店では、店に入ったらまず店員さんに人数を伝えます。
一人ならカウンター、二人なら小さなテーブル、人数が多ければ店の外に案内されることもあります。
常連さんの中には、そのまま空いている場所へ入っていく人もいますが、初めてなら店員さんの案内に従えば大丈夫です。
注文は基本的にキャッシュオン方式で、お酒や料理が運ばれてきたときに、その場で代金を支払います。
一般的な居酒屋のように最後にまとめて会計するわけではないため、支払う分の千円札や小銭を用意しておきましょう。
ただし、キャッシュオンの店では1円玉や5円玉はもちろん、中には10円も使えない店もあります。
いこい本店のルールはこんな感じ
昔ながらの立ち飲み酒場には、一般的な居酒屋とは少し違うルールがあります。
まず、一人につきドリンク1杯と料理1品を注文するのが基本です。
これはいこい本店に限らず、多くの立ち飲み酒場で設けられているルールです。
また、いこい本店には灰皿が置かれていません。
床が灰皿になります。
こんな感じで床にタバコが捨てられているのです。

ほかにも、立ち飲み酒場の大半は、お客さん同士のおごり・おごられを禁止しています。
一人客が多いので、トラブルを避ける意味もあるのだと思います。
いこい本店は、週末や平日の夕方以降は非常に混雑するため、大声で騒いだり、長時間場所を占領したりするのもルール違反です。
こうしたルールを守っていれば、常連さんと無理に会話する必要もありません。
一人で静かに飲んでいても、浮くことはないのです。
いこい本店はせんべろでも1,000円以下!コスパも抜群
いこい本店の最大の魅力は、何といってもコスパの高さです。
料理は一人分の小皿で提供されるものが多く、100円台から200円台が中心。お酒も安いので、1,000円あれば十分に楽しめます。
例えば、こんな組み合わせです。
- 焼酎ハイボール:250円×2
- ポテトサラダ:130円
- マグロぶつ切り:160円
合計790円です。
酒2杯とつまみ2品という、せんべろの目安を十分に満たしています。
しかも、まだ210円残っているので、何なら焼酎ハイボールをもう1杯飲めそうです。
これだけでも、いこい本店のコスパの良さがよくわかると思います。
しかし、いこい本店は料理がおいしいのも魅力です。
特におすすめなのが、店内のホワイトボードに書かれている、その日の仕入れによって変わるメニューです。
通常メニューにはない魚介類や肉料理などが並び、内容は毎回違います。
こちらも安い料理が多く、中には結構なボリュームのあるものもあります。
春ならホタルイカ、秋ならサンマといった旬の魚介類が登場することもあります。
以前、秋に500円のサンマを注文したことがありました。

ちなみに、いこい本店の通常メニューに500円台はありません。
あまり期待はしていませんでしたが、出てきたサンマは網で焼いたぷりぷりの上物。
冗談抜きで、その年に食べたサンマの中では、間違いなく一番でした。
ちなみに、常連さんがメニューに載っていない料理を注文していることもあります。
「前食べた○○エビある?」って聞いていました。
常連さん向けなのか、どんなときに注文できるのかは私もよく知りません。
結構通っていますが、まだまだ謎が多いお店です(笑)
赤羽は、いこい本店のほかにも、まるます家やまるよしなど、昭和の空気が残る店が多い街です。
昔はおじさんばかりだった赤羽が今どう変わったのか、常連さんに教わった赤星の話も含めて、noteで詳しく書いています。

これだけは知っておきたい居酒屋にはないせんべろ酒場独特のルール

昔ながらのせんべろ酒場には、普通の居酒屋ではまずみられない驚くべき独特ルールがあることが多いです。
中には店内に書かれていない暗黙のルールもあるため、初めて訪れる際には少し注意が必要になります。
昔からある、立ち飲みやせんべろ酒場での代表的なルールを紹介していきます。
せんべろ酒場でよく見かける7つのルール
私がこれまで訪れた立ち飲み酒場では、次のようなルールがありました。
- キャッシュオン(その都度払う)
- 最初に一人ワンドリンク・ワンフード
- 最初の注文は店員さんに聞かれてから
- 隣の人との現金の貸し借り(おごり・おごられ)禁止
- ドリンク以外は最初にすべて注文する(追加注文なし)
- お酒は3杯まで
- 一人2,000円まで
お酒は3杯までで「深夜食堂」のドラマや映画を思い出した人も多いのではないでしょうか。
実際、北区赤羽にある「まるます家」は、お酒3杯のルールがあります。
もちろん、すべてのお店にこの7つのルールがあるわけではありません。
特に、お酒は3杯まで、一人2,000円までといった制限は、採用しているお店の方が少ないです。
こうしたルールは店内に掲示されていることも多いので、初めて訪れる際には確認しておくと安心です。
店によってはこんな独自のルールもある
せんべろ酒場には、さらに細かな店独自のルールがあることもあります。
例えば、キャッシュオン方式のお店では、メニューがすべて50円単位になっていて、10円玉の使用を禁止しているところもあります。
また、キャッシュオン方式の立ち飲み酒場では、お釣りを専用の灰皿に入れておくお店も多いです。
(お釣りを入れた灰皿の写真)
注文のたびに財布を出す必要がなく、灰皿に入っているお金から代金を支払う仕組みです。
特にワンオペのお店などでは、店主がお客さんの灰皿に入れてあるお金を把握していて、つまみを頼むとそこから代金を取り、おつりを戻してくれたりします。
そのため、おつりでもらった500円玉を財布にしまうなど、途中で灰皿のお金をいじると店主に怒られることもあるのです。
実際に、そうしたことをして店主に怒られているお客さんを見かけたこともあります。
もちろん、どこのお店でも禁止されているわけではありませんが、昔ながらの立ち飲み酒場には、このように店主独自のマイルールがあることも多いです。
私自身も、ほかのお客さんの振る舞いや注意されている様子を見ながら、そのお店のマイルールを少しずつ覚えていきました。
こうした暗黙のルールがわかってくると、自分も少し常連になったような気がするのかもしれません。
まとめ
ここまで、せんべろの意味や普通の居酒屋との違い、初めてでも楽しめる理由について紹介してきました。
せんべろ酒場は、ただ安く酔うための店ではないことがおわかりいただけたと思います。
せんべろと言われている酒場は、一人で来て、自分のペースで飲んで、サッと帰るための場所。
だからこそ、常連さんばかりに見える店でも、誰かに干渉されることはなく、最低限のルールさえ守れば、初めての人も同じように過ごせるはずです。
敷居が高いのは見た目だけで、中に入ってしまえば、昔からの常連さんも若い人も、肩を並べて一杯を楽しんでいます。
それが、長年通い続けてきた私が思う、せんべろ酒場の一番の魅力です。
せんべろがどこで生まれて、なぜ今若い人や女性にまで広がったのかは、noteで詳しく書いています。
北九州の工場で働く人の角打ちから、今のチェーン店や居酒屋第4世代まで、長年通ってきた私なりに整理しています。
せんべろの背景も知りたくなった方は、のぞいてみてください。


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